Lamp in S.B.S.
ネット物書き音沼紗春の日記。 日常と、文章について。 時々、サイトの更新情報。
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密室真実ええと7回目
突発掌編小説書きなぐり密室真実、本シリーズは久々の7回目。
死亡報告書は。
適当な、ぶつ切りの語りにしたかった。んで、謎の会話。
よくわかんない話。
ラストは即興。
今回は。
ある、とある人が、会話だけの小説を投稿していて。
なんとなく思いついた。
からっぽかっぷ
死亡報告書は。
適当な、ぶつ切りの語りにしたかった。んで、謎の会話。
よくわかんない話。
ラストは即興。
今回は。
ある、とある人が、会話だけの小説を投稿していて。
なんとなく思いついた。
からっぽかっぷ
ねえ、コーヒーが飲みたい。
甘えた声で言うと、彼は眉間にしわを寄せた。だめかな、と小首を傾げてみせる。少し、酒に酔ったのだろうか。さっきの、たかだかビール一杯で?
ないよ。
えっ。
きょとんとしていると、彼は一息ついてキッチンに消え、からっぽの瓶を投げ渡した。インスタントコーヒーの素が入っているはずの、四角い瓶。振ったり中を覗いてみたりするが、わたしの求めているコーヒーの素は、瓶にへばりついている細かい砂しかない。蓋を開けると、つんとコーヒーの匂いが香った。えへへ、と指を瓶の内側に滑らせて、ついた粉を舐めた。
ねえ、こおひぃ。
うふふ、という笑い声が口から出てきた。たった一杯のビールが、こんなにも酔いを織りなしている。いつもなら、ビール一瓶でも酔わないのに。どうしてだろう。
なーい。
彼が呆れたように呟くのを聞いて、少しいじめたくなった。ぷうと頬を膨らませて口を尖らせる。
こーひーこーひーこおひーい。こーひー飲みたいー。
だから、ないんだって。
ぐだぐだに酔っ払ったわたしを見て、彼が呆れたように呟く。かわいいな、と思う。年上の彼だけど。いつも澄ました彼だけど。困った様に口を曲げる彼は、かわいい。
じゃーあ、魔法で作ってよー。
できません。
じゃーあ、こーひーぎゅーにゅー。
元々置いてないし。
えー。
やはははは、とわたしは体をくねらせながら踊る。踊っているわけではないけれど。ぐにゃぐにゃしている。
買ってくるよ。
わたしは首を傾げて彼を見た。どうしてそんなことをしなければいけないのだろう。彼はため息をつきながら背を向ける。
じゃあ、すぐ戻るから。
いっちゃやだ。って言ったけど、彼は出て行ってしまった。
いっちゃだめだ。って、何故だか思った。
小説なんかだと、ここで彼は死んじゃうのだ。どきどきしながら、それは、小説の中のことだもんね、と心を納得させる。なんだか、酔いもさめてきたように、体がさめてくる。だけれど、眠気だけがさめなくて、まぶたが落ちてくるのがわかった。こーひー、が。
朝だった。ソファで酔いつぶれて眠ってしまったらしい。痛む頭を押さえながら起き上がる。いつもの自分の部屋なのに、何故だか様子が違って見えた。ソファに座りながら、部屋を見回す。机の上にはビールの空き缶が2つと、ピーナツの乗った小皿。片付けなければ。1つピーナツを口に入れながら、空き缶と小皿を両手に持って立ち上がる。
そういえば、昨日は彼が来ていた。
そう思ったのと、缶と小皿を手放してしまったのは同時だった。だが、それには構わず、なんとなく後ろを振り返った。カーテンの閉めていない窓。外が見える。太陽が光を落としている。
確かに記憶はある。だが、だが。
痛む頭で、昨日の「彼」の顔を思い出す。丸っこい目と、茶色の髪の毛、つんつん立っていた髪型。服装は、パーカにジーンズ。昨日の「彼」の姿は思い出せる。だが、今まで会った人の中に、そんな人はいない。
誰だ? あの人は誰だったんだ?
何故だか冷や汗が流れ、喉が渇いてきた。ああ、コーヒー、コーヒーが飲みたい。
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