Lamp in S.B.S.
ネット物書き音沼紗春の日記。 日常と、文章について。 時々、サイトの更新情報。
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最後はきっと、手をつないだまま
というわけれアレスとカイちゃんの洞窟探検隊。
ようやく最終回です長かった疲れた。
どっかーん。
ようやく最終回です長かった疲れた。
どっかーん。
・短剣=楔
アレスは静かに眠っている。カイはその横で、立ち上がった。ぐっと力を込めて斧の柄を握る。
「何なんだ。用があるなら言え」
カイの足元に置かれたランプ。その明かりがギリギリ届くところに、少女が姿を現していた。薄汚れた、若い女の子。カイは疲れたように言う。
「出ていけというなら手伝ってくれ。わたしたちも出たいんだ。他に用があるなら言ってくれ、できる限り協力する」
少女は何も言わなかった。ただ、短剣を軽く構えている。カイは頼むようにして彼女を見つめる。
ふらりと、少女がこちらに向けて歩き出す。ゆっくりとした足取りで、弱弱しい。両手で持った短剣は体の前でぶらぶらと揺れている。カイは斧をぎゅっと握りしめる。顔の造詣がしかと見えるほどになって、そして少女は不意に全身に力を入れた。足を地面に叩きつけるようにして固定し、歯を食いしばるようにして短剣を上へ振り上げた。カイは斧を手に回しながら、短剣を横から殴りつける。少女の体ごと横に飛んだ。斧を目の前に構える。地面に這い蹲る少女が、カイをキッと睨んだ。そのまま、少女は短剣をかざしてカイに突っ込む。いなせば、空いた胴にさらに突っ込んでくる。カイは短剣を真正面から受け止めた。ガァン、という重い音がした。つばぜり合いになる。と思ったところで、斧に蹴りが入っていた。重心がぶれ、上手く手に回せない。その隙に、首へ向けて短剣が飛んだ。斧から手を離し、カイは身を引く。短剣の切っ先は、空を切った。
「やめよう。話し合いをさせてくれ。わたし達は、そちらの要求が聞きたい」
カイは腰に剣を下げている。そうしている人は多い。自分の得物と、剣。正装用でもあるが、扱いやすいのも事実だった。実際、部隊に入って一番最初に訓練が行われるのもこれである。それに手をやりながら、だが抜くのはやめようと、そう思っていた。
「お願いだ。争うのはやめよう」
「こちらの要求を聞かない、というのが向こうの狙いだったりして」
ただの揚げ足取りだ。ひょうひょうとした言い方で、カイの背後に影が差す。頭を軽く振りながら、アレスが立ち上がっていた。
「お前、大丈夫なのか? 怪我は、貧血は?」
「うん、寝たら治った」
アレスは腰の剣を抜いた。ぼんやりとたたずむ少女に向けてそれを構える。
「仕方がないから俺も問いますか」
ゆっくりとした呼吸をしながらも、真っ直ぐに前を向いていた。真剣な瞳で、切っ先をかざす。
「何が目的だ」
辺りが震えた。少女が一歩後退したのが分かった。
「そっちが戦わないのであればこちらも戦わない。望みを言ってみろ」
少女は、短剣を構えてこちらに向かってきた。
まるでそれしか知らないかのようだった。
アレスはそれに、受けて立つ。
単純に、刃の届くのはアレスの剣の方が早い。双方が剣をのばし、刃先が少女の体を傷つける直前で、短剣が剣を叩いた。お互いに弾かれる。重さの点から言って、探検のほうが小回りが利く。短剣が先に、アレスの首を狙った。斜め下に振られた剣を、力任せに持ち上げ、迫ってくる少女にぶつける。ぶつかるところで、素早く短剣が剣に受けて立ち、金属音がして、少女の体が飛んだ。土壁に向かって勢いよく飛び、そして、吸い込まれた。
「え?」
カイは思わず呟く。息を止めて見ていた戦闘。お互い、流れるように綺麗な剣さばきだった。それが、突然掻き消えたのだった。
少女の体は当然、土壁にぶつかり、転がるはずだった。しかし、まるで幽霊のように少女の体は土壁に消えたのだった。だが、アレスはそちらを見ても、険しい表情をしただけで驚いた様子は見せなかった。一息つくと、剣をしまって、数歩先で地面に突き刺さった斧に手をかける。
「なんだ、今の、なんだ? あの子は?」
「わかんなかった? あの子、人間じゃないよ」
「……じゃあ、『竜』だとでも?」
「いんや、そういうわけでもない」
突然、どんっと地響きが辺りを襲った。アレスはぎゅっと斧の柄をつかむ。ガラガラッ、とアレスの真上辺りの瓦礫が崩れた。空いている方の手で自分の元へぶつかろうとする石を払いのける。
カイは、天井と足元が崩れるのが分かった。わかったが、どうしようもない。土砂に巻き込まれていく。死ぬのかな、と思った。なんでだろう、とそう思った。
崩れ来る天井の間から、少女が降ってきていた。やはり短剣を胸の前で構えている。アレスは斧を握り、それで少女をなぎ払おうと思った。刺さっている向きを鑑みると、峰打ちになる。それは、丁度いい。しかしアレスは、斧を振りぬく腕を途中で止めた。それもこれもどれも、一瞬の内のことだった。その一瞬が過ぎて、少女はアレスとすれ違う。短剣は、アレスの足元にふかぶかと刺さった。
そうして、アレスの足元もガラガラと崩れだした。
土砂が、硬い地の上に落ちていく。鉱物がむき出しになったような、硬い場所だった。
「あぎゃん」
「……馬鹿みたいな悲鳴をあげるな!」
「仕方ないじゃん俺馬鹿だもぎゃぐぐ」
その土砂に紛れて、アレスとカイが転がってくる。どうにか手を取り合って、うずたかく積まれた土砂から這い出す。
「びっくりしたな。なんだったんだ」
「あの子が通路ぶっ壊したんだよ」
傍らで埋もれていた斧を引っこ抜くと、土砂がまた少し崩れた。逃げながら、アレスは斧をカイに返す。
「俺結局振らなかったな、それ」
「でも色々な物を使ったじゃないか」
「そーなんだよね、全部壊れちゃった」
鉱物に囲われたその一室の片隅に、古ぼけた物体が置かれていた。
「何でも、使えるんだな」
「そう、何でも使えるの、俺。そこそこにはね。だからある意味、俺ってむちゃくちゃ弱いんだよね」
宝箱だった。木で組まれ、補強するように金属が使われている。だが木はささくれ立ち半ば腐っており、金属もまたごてごてにさびついていた。あけるのも一苦労と思われた。抱えられるか抱えられないかくらいの大きさのその宝箱には、丁度鍵の部分に、短剣が突き刺さっていた。真っ直ぐに。
アレスが、その短剣に手をかけた。
力を入れて引っこ抜こうとするが、動かなかった。アレスはそっと短剣の柄を撫で、ゆっくりと引き抜いた。
短剣が抜けると、宝箱は、からからと崩れ落ちた。金属の枠組みも、木目の揃った木々も、全て塵になる。
どこかずっと遠くからごごごごという地響きが聞こえた。アレスはカイに振り向く。その手の中で、短剣もまた塵になって砕けた。
「いいのか」
「いいも何も、ないんじゃない?」
細かい砂となったそれが、宝箱の奥へと流れていく。そちらに道があるようだった。先ほど上から崩れてきた場所に今また、砂がはらはらと落ちてきていた。どーん、どーん、とどこかが崩れる音が連続的に聞こえてきている。
「行こうか」
「うん」
アレスとカイは連れ立って、先へ進んだ。
真っ暗な、細い道。
カイはアレスの足音を追う。手探りで両脇の壁を伝いながら、前にいるアレスの気配を全身で感じようとする。
真っ暗だった。
「よく、歩けるな。こんな暗い道」
「俺が明るいからこんな道へっちゃらってことですよ」
ひひ、と笑うようにアレスは言った。ごまかされた。カイは少し不機嫌に思いながらも、先ほどまでのごまかす余裕のなかった彼を思い返して、微笑んだ。
不意に、アレスの足音が止まった。カイも止まる。どうかしたのだろうか。改めて顔を上げると、アレスの背後に、明かりが見えてきていた。
逆光。アレスが手を差し出しているのが分かった。
「転ばないように。ささ、お手をどうぞ?」
「……いらん」
カイはアレスの手に、自分の手を置いた。
真っ暗だった。
それでも、カイはアレスが微笑んだのが分かった。照れたように顔を背けたのも、アレスに分かっただろうと思った。
連れだって道を行き、そして、頭の上に、明かりが広がった。
草に覆われた山肌の一角だった。木が所々に立っている。青空が綺麗に広がり、また、麓の小さな町を見下ろすことができた。爽やかな風が吹きつけ、草木がさやさやと騒ぐ。土を塗りたくったようにどんよりとした疲労がいっぱいの体だったが、吹き抜ける静かな風はそれを癒してくれていた。
「あー、疲れた」
アレスが腕を伸ばして、空を仰いだ。暗いところにしばらくいたせいで、目がしょぼしょぼする。カイはぐるぐると目を回す。アレスもまた、体のあちこちを伸ばしている。その、汚れ、怪我をした姿を、改めて見る。
「どした?」
顔も向けずに聞かれる。
「いや。……ああ、そうだな、うん」
「ん?」
アレスは軽く振り返る。カイは微笑んだ。
「ありがとう」
きょとん、とアレスは停止した。そよそよと風が吹いてくる。カイはそちらに目を向け、アレスもまたそれに習った。二人揃って眩しそうに目を細める。
「ん、どういたしまして」
二人の後ろ、今しがた出てきた洞穴から、どんっという重い音が響いた。そして、砂煙がふわりと吹き出した。
・
長かった爆笑。
突発だったのに長かった。連載めんどいわ。
うにうに。
アレスが書きたかったのです。カイちゃんも書きたかったのです。
当初の予定では洞穴にすむ『竜』とも色々合ったのですが略。
なんかもう色々と略。
ついでに私信。
二次創作させていただきましてごめんなさいありがとう。
おかえりなさい待ってた寂しかった嬉しい大好きうわああん。
ところで絵チャはできますかどきどきわくわく。
ちなみに、アレス好きなわたしがあえてアレスxカイを書いた(まあらぶいわけじゃあないけれど)のがやや不思議かもしれんので解説だぜ。
解説じゃないけど。イメージはこんな感じ。
「……(むー)……」
「おおおお姉さん?」
「……(むー)……」
「別にわたしはアレスといちゃついてなんかないですよ?」
「……(むー)……」
「お姉さんのアレスを取ったりしませんから……!」
「……(ぐすん)……」
「わーわー、ちょ、泣かないでごめんなさいアレスは返しますから……!」
「……幸せになるなら許す」
「……お姉さん……っ!」
そして共に泣く。
そんな感じ。
アレス好きだ……!
アレスは静かに眠っている。カイはその横で、立ち上がった。ぐっと力を込めて斧の柄を握る。
「何なんだ。用があるなら言え」
カイの足元に置かれたランプ。その明かりがギリギリ届くところに、少女が姿を現していた。薄汚れた、若い女の子。カイは疲れたように言う。
「出ていけというなら手伝ってくれ。わたしたちも出たいんだ。他に用があるなら言ってくれ、できる限り協力する」
少女は何も言わなかった。ただ、短剣を軽く構えている。カイは頼むようにして彼女を見つめる。
ふらりと、少女がこちらに向けて歩き出す。ゆっくりとした足取りで、弱弱しい。両手で持った短剣は体の前でぶらぶらと揺れている。カイは斧をぎゅっと握りしめる。顔の造詣がしかと見えるほどになって、そして少女は不意に全身に力を入れた。足を地面に叩きつけるようにして固定し、歯を食いしばるようにして短剣を上へ振り上げた。カイは斧を手に回しながら、短剣を横から殴りつける。少女の体ごと横に飛んだ。斧を目の前に構える。地面に這い蹲る少女が、カイをキッと睨んだ。そのまま、少女は短剣をかざしてカイに突っ込む。いなせば、空いた胴にさらに突っ込んでくる。カイは短剣を真正面から受け止めた。ガァン、という重い音がした。つばぜり合いになる。と思ったところで、斧に蹴りが入っていた。重心がぶれ、上手く手に回せない。その隙に、首へ向けて短剣が飛んだ。斧から手を離し、カイは身を引く。短剣の切っ先は、空を切った。
「やめよう。話し合いをさせてくれ。わたし達は、そちらの要求が聞きたい」
カイは腰に剣を下げている。そうしている人は多い。自分の得物と、剣。正装用でもあるが、扱いやすいのも事実だった。実際、部隊に入って一番最初に訓練が行われるのもこれである。それに手をやりながら、だが抜くのはやめようと、そう思っていた。
「お願いだ。争うのはやめよう」
「こちらの要求を聞かない、というのが向こうの狙いだったりして」
ただの揚げ足取りだ。ひょうひょうとした言い方で、カイの背後に影が差す。頭を軽く振りながら、アレスが立ち上がっていた。
「お前、大丈夫なのか? 怪我は、貧血は?」
「うん、寝たら治った」
アレスは腰の剣を抜いた。ぼんやりとたたずむ少女に向けてそれを構える。
「仕方がないから俺も問いますか」
ゆっくりとした呼吸をしながらも、真っ直ぐに前を向いていた。真剣な瞳で、切っ先をかざす。
「何が目的だ」
辺りが震えた。少女が一歩後退したのが分かった。
「そっちが戦わないのであればこちらも戦わない。望みを言ってみろ」
少女は、短剣を構えてこちらに向かってきた。
まるでそれしか知らないかのようだった。
アレスはそれに、受けて立つ。
単純に、刃の届くのはアレスの剣の方が早い。双方が剣をのばし、刃先が少女の体を傷つける直前で、短剣が剣を叩いた。お互いに弾かれる。重さの点から言って、探検のほうが小回りが利く。短剣が先に、アレスの首を狙った。斜め下に振られた剣を、力任せに持ち上げ、迫ってくる少女にぶつける。ぶつかるところで、素早く短剣が剣に受けて立ち、金属音がして、少女の体が飛んだ。土壁に向かって勢いよく飛び、そして、吸い込まれた。
「え?」
カイは思わず呟く。息を止めて見ていた戦闘。お互い、流れるように綺麗な剣さばきだった。それが、突然掻き消えたのだった。
少女の体は当然、土壁にぶつかり、転がるはずだった。しかし、まるで幽霊のように少女の体は土壁に消えたのだった。だが、アレスはそちらを見ても、険しい表情をしただけで驚いた様子は見せなかった。一息つくと、剣をしまって、数歩先で地面に突き刺さった斧に手をかける。
「なんだ、今の、なんだ? あの子は?」
「わかんなかった? あの子、人間じゃないよ」
「……じゃあ、『竜』だとでも?」
「いんや、そういうわけでもない」
突然、どんっと地響きが辺りを襲った。アレスはぎゅっと斧の柄をつかむ。ガラガラッ、とアレスの真上辺りの瓦礫が崩れた。空いている方の手で自分の元へぶつかろうとする石を払いのける。
カイは、天井と足元が崩れるのが分かった。わかったが、どうしようもない。土砂に巻き込まれていく。死ぬのかな、と思った。なんでだろう、とそう思った。
崩れ来る天井の間から、少女が降ってきていた。やはり短剣を胸の前で構えている。アレスは斧を握り、それで少女をなぎ払おうと思った。刺さっている向きを鑑みると、峰打ちになる。それは、丁度いい。しかしアレスは、斧を振りぬく腕を途中で止めた。それもこれもどれも、一瞬の内のことだった。その一瞬が過ぎて、少女はアレスとすれ違う。短剣は、アレスの足元にふかぶかと刺さった。
そうして、アレスの足元もガラガラと崩れだした。
土砂が、硬い地の上に落ちていく。鉱物がむき出しになったような、硬い場所だった。
「あぎゃん」
「……馬鹿みたいな悲鳴をあげるな!」
「仕方ないじゃん俺馬鹿だもぎゃぐぐ」
その土砂に紛れて、アレスとカイが転がってくる。どうにか手を取り合って、うずたかく積まれた土砂から這い出す。
「びっくりしたな。なんだったんだ」
「あの子が通路ぶっ壊したんだよ」
傍らで埋もれていた斧を引っこ抜くと、土砂がまた少し崩れた。逃げながら、アレスは斧をカイに返す。
「俺結局振らなかったな、それ」
「でも色々な物を使ったじゃないか」
「そーなんだよね、全部壊れちゃった」
鉱物に囲われたその一室の片隅に、古ぼけた物体が置かれていた。
「何でも、使えるんだな」
「そう、何でも使えるの、俺。そこそこにはね。だからある意味、俺ってむちゃくちゃ弱いんだよね」
宝箱だった。木で組まれ、補強するように金属が使われている。だが木はささくれ立ち半ば腐っており、金属もまたごてごてにさびついていた。あけるのも一苦労と思われた。抱えられるか抱えられないかくらいの大きさのその宝箱には、丁度鍵の部分に、短剣が突き刺さっていた。真っ直ぐに。
アレスが、その短剣に手をかけた。
力を入れて引っこ抜こうとするが、動かなかった。アレスはそっと短剣の柄を撫で、ゆっくりと引き抜いた。
短剣が抜けると、宝箱は、からからと崩れ落ちた。金属の枠組みも、木目の揃った木々も、全て塵になる。
どこかずっと遠くからごごごごという地響きが聞こえた。アレスはカイに振り向く。その手の中で、短剣もまた塵になって砕けた。
「いいのか」
「いいも何も、ないんじゃない?」
細かい砂となったそれが、宝箱の奥へと流れていく。そちらに道があるようだった。先ほど上から崩れてきた場所に今また、砂がはらはらと落ちてきていた。どーん、どーん、とどこかが崩れる音が連続的に聞こえてきている。
「行こうか」
「うん」
アレスとカイは連れ立って、先へ進んだ。
真っ暗な、細い道。
カイはアレスの足音を追う。手探りで両脇の壁を伝いながら、前にいるアレスの気配を全身で感じようとする。
真っ暗だった。
「よく、歩けるな。こんな暗い道」
「俺が明るいからこんな道へっちゃらってことですよ」
ひひ、と笑うようにアレスは言った。ごまかされた。カイは少し不機嫌に思いながらも、先ほどまでのごまかす余裕のなかった彼を思い返して、微笑んだ。
不意に、アレスの足音が止まった。カイも止まる。どうかしたのだろうか。改めて顔を上げると、アレスの背後に、明かりが見えてきていた。
逆光。アレスが手を差し出しているのが分かった。
「転ばないように。ささ、お手をどうぞ?」
「……いらん」
カイはアレスの手に、自分の手を置いた。
真っ暗だった。
それでも、カイはアレスが微笑んだのが分かった。照れたように顔を背けたのも、アレスに分かっただろうと思った。
連れだって道を行き、そして、頭の上に、明かりが広がった。
草に覆われた山肌の一角だった。木が所々に立っている。青空が綺麗に広がり、また、麓の小さな町を見下ろすことができた。爽やかな風が吹きつけ、草木がさやさやと騒ぐ。土を塗りたくったようにどんよりとした疲労がいっぱいの体だったが、吹き抜ける静かな風はそれを癒してくれていた。
「あー、疲れた」
アレスが腕を伸ばして、空を仰いだ。暗いところにしばらくいたせいで、目がしょぼしょぼする。カイはぐるぐると目を回す。アレスもまた、体のあちこちを伸ばしている。その、汚れ、怪我をした姿を、改めて見る。
「どした?」
顔も向けずに聞かれる。
「いや。……ああ、そうだな、うん」
「ん?」
アレスは軽く振り返る。カイは微笑んだ。
「ありがとう」
きょとん、とアレスは停止した。そよそよと風が吹いてくる。カイはそちらに目を向け、アレスもまたそれに習った。二人揃って眩しそうに目を細める。
「ん、どういたしまして」
二人の後ろ、今しがた出てきた洞穴から、どんっという重い音が響いた。そして、砂煙がふわりと吹き出した。
・
長かった爆笑。
突発だったのに長かった。連載めんどいわ。
うにうに。
アレスが書きたかったのです。カイちゃんも書きたかったのです。
当初の予定では洞穴にすむ『竜』とも色々合ったのですが略。
なんかもう色々と略。
ついでに私信。
二次創作させていただきましてごめんなさいありがとう。
おかえりなさい待ってた寂しかった嬉しい大好きうわああん。
ところで絵チャはできますかどきどきわくわく。
ちなみに、アレス好きなわたしがあえてアレスxカイを書いた(まあらぶいわけじゃあないけれど)のがやや不思議かもしれんので解説だぜ。
解説じゃないけど。イメージはこんな感じ。
「……(むー)……」
「おおおお姉さん?」
「……(むー)……」
「別にわたしはアレスといちゃついてなんかないですよ?」
「……(むー)……」
「お姉さんのアレスを取ったりしませんから……!」
「……(ぐすん)……」
「わーわー、ちょ、泣かないでごめんなさいアレスは返しますから……!」
「……幸せになるなら許す」
「……お姉さん……っ!」
そして共に泣く。
そんな感じ。
アレス好きだ……!
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無題
∑うあうああ紗春サンったら本当いつもいつもありがとうございます……!!
こんばんはわーいお久し振りです(*´ω`)レミネです嬉しいです会いたかった!(黙
こんな4部にもわたる超大作を本当にありがとうございましたvもうめっちゃ楽しく読ませて頂きましたー(≧∀≦)!!
と言うかあああもうちょっと素敵すぐる……! あれですね紗春サンの書くアレスがかっこよすぎると思います。笑
勝手にカイを紗春サンに置き換えてにこにこしながら見てました!(ちょ
いやもう本当いつもいつもありがとうございます本当に……! 何回言ってるんだろわたし!!(←
絵チャですかですか!! できますできますVISTAでばっちりです。もう是非に是非に!笑
僕は日時はいつでも大丈夫なのですが紗春サンはどうですかお暇ありますか! ああでもやはり出来れば夕方がいいですロマンティックで。(言ってろ
ではでは、本当にありがとうございましたー♪