Lamp in S.B.S.
ネット物書き音沼紗春の日記。 日常と、文章について。 時々、サイトの更新情報。
[576] [575] [574] [573] [572] [571] [570] [569] [568] [567] [566]
[PR]
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
14歳の誕生日
たぶん密室真実が14回目という話。
前もありましたが、今回も競作小説企画さんの没作。
ていうか結局提出してないんだけど。
テーマはドロップ。
甘さと恋、みたいなものを目指してた気がする。
途中で投げ出したのでよくわからないところで終わってます。
前もありましたが、今回も競作小説企画さんの没作。
ていうか結局提出してないんだけど。
テーマはドロップ。
甘さと恋、みたいなものを目指してた気がする。
途中で投げ出したのでよくわからないところで終わってます。
・零れ落ちても渦巻いて
甘いケーキが食べたい。
胸の中に何か重いものを詰め込んだような息苦しさが、ここのところしばらく続いていた。そんなだから、授業もまともに聞いてやいない。だが大学の授業なんてものは聞いているかどうかが重要なのではなく、出ているかどうかが重要なのだから問題はないだろう。
ふとした折に胸に手を当てて眉をしかめてしまう、ということが日に何度もある最近の体調。体の調子が悪いと心の調子もどこか悪くなって、最近アンタ機嫌悪いね、なんて友人にも言われる有様。何にもしたくない、と叫びながら暴れたくなる気分であるというのに、その衝動は突然芽生えた。
甘い甘いケーキが食べたい。
ちらりと、視線を右方向へやる。生え際だけは黒い、明るい茶髪。周囲の友人達と友に軽く肩を震わせている。その手にはペンを持っているが、どうも勉強をしている風ではなかった。ああ、向くのはそっちじゃなくて。眼鏡のフレームは見えるのだが、その表情は少しも見えない。こちらを向いてほしいとは言わないから、せめて横顔だけ見たいなあ。
抑揚のない、独り言のような先生の声が、どこか上の方から聞こえてくる。聞きたいものではないから、どうでもいい。彼らが笑う声が、わずかに聞こえる。彼の声も混じっているようだが、聞き取れない。透明になって、あの輪の真ん中に入ってきたい。
甘いケーキが、食べたい。
小さなため息をついたところで、突然大きな影が差した。驚いて上を見上げると、巨大なホールケーキが降ってきていた。
目を丸くして身を引くが、ケーキはずどんと重い音を立てて落下した。思わず悲鳴を上げそうになったが、周りの誰も驚いていないことに気がついて息を呑む。穏やかに談笑している人もいれば、先生の声に耳を傾けて黒板の文字を写し取っている人もいた。
どん、と教室のど真ん中に鎮座する巨大なケーキ。誰も、それが見えていないらしい。皆、降ってくる前と何ら変わらぬ様子で授業を続けていた。彼の姿は、ケーキで隠れて見えなくなっていた。
夢でも見ているのだろうかと頭をかきながら、そのケーキに視線を送る。ショートケーキだった。真っ白な生クリームに覆われ、イチゴがでんと乗っている。そのイチゴは、一つ一つが、一時期流行ったあのバランスボールほどの大きさがあった。ケーキ自体、高さが身長ほどもあるし、中をくりぬいて自分の部屋にできそうなほど大きかった。馬鹿でかいケーキである。
了 ?
甘いケーキが食べたい。
胸の中に何か重いものを詰め込んだような息苦しさが、ここのところしばらく続いていた。そんなだから、授業もまともに聞いてやいない。だが大学の授業なんてものは聞いているかどうかが重要なのではなく、出ているかどうかが重要なのだから問題はないだろう。
ふとした折に胸に手を当てて眉をしかめてしまう、ということが日に何度もある最近の体調。体の調子が悪いと心の調子もどこか悪くなって、最近アンタ機嫌悪いね、なんて友人にも言われる有様。何にもしたくない、と叫びながら暴れたくなる気分であるというのに、その衝動は突然芽生えた。
甘い甘いケーキが食べたい。
ちらりと、視線を右方向へやる。生え際だけは黒い、明るい茶髪。周囲の友人達と友に軽く肩を震わせている。その手にはペンを持っているが、どうも勉強をしている風ではなかった。ああ、向くのはそっちじゃなくて。眼鏡のフレームは見えるのだが、その表情は少しも見えない。こちらを向いてほしいとは言わないから、せめて横顔だけ見たいなあ。
抑揚のない、独り言のような先生の声が、どこか上の方から聞こえてくる。聞きたいものではないから、どうでもいい。彼らが笑う声が、わずかに聞こえる。彼の声も混じっているようだが、聞き取れない。透明になって、あの輪の真ん中に入ってきたい。
甘いケーキが、食べたい。
小さなため息をついたところで、突然大きな影が差した。驚いて上を見上げると、巨大なホールケーキが降ってきていた。
目を丸くして身を引くが、ケーキはずどんと重い音を立てて落下した。思わず悲鳴を上げそうになったが、周りの誰も驚いていないことに気がついて息を呑む。穏やかに談笑している人もいれば、先生の声に耳を傾けて黒板の文字を写し取っている人もいた。
どん、と教室のど真ん中に鎮座する巨大なケーキ。誰も、それが見えていないらしい。皆、降ってくる前と何ら変わらぬ様子で授業を続けていた。彼の姿は、ケーキで隠れて見えなくなっていた。
夢でも見ているのだろうかと頭をかきながら、そのケーキに視線を送る。ショートケーキだった。真っ白な生クリームに覆われ、イチゴがでんと乗っている。そのイチゴは、一つ一つが、一時期流行ったあのバランスボールほどの大きさがあった。ケーキ自体、高さが身長ほどもあるし、中をくりぬいて自分の部屋にできそうなほど大きかった。馬鹿でかいケーキである。
了 ?
PR