つまらないはなし

俺さ、今なら死ねる気がする。なんてね。

だから本当に、スイッチを入れるくらい明快に。
でも指の隙間から見た夢の記憶がこぼれるくらいにあっけなく。

こういうのを感受性が強い、っていうのかな。

つまり、ええと。
特に病んだ日記じゃなかったし、特に普通の日記でもなかった。
何か特別な日記ではなかったはずなんだけど。
嗚呼。
何故かすーっ、と画面が切り替わるのがわかったんだ。

ところで、俺が今まで誰にも言わなかったことを教えてあげる。
言いたくて、でも馬鹿らしくて、泣きたくなったからいえなかった。
俺な、幼い子、幼稚園前とかの子供が泣いてると、すごく悲しくなるんだ。
これ買って、って泣き出している男の子とか。
何でかわからないけれど泣いている女の子とか。
泣いてなくてもいいんだ。
泣きそうなほどにねだってたり、泣きそうにむすっとしてたりとか。
そういうのを見ると、泣きたくなるんだ。
それで、おかあさんとかおとうさんが、しずかにしてなさい、とか言っていると、もっとかなしい。
おかーさん、これみて。
どうかやさしくさとしてほしい。
さわぐのはきっとかまってほしいせいなのに。
泣き出したくなる。
小さな子が泣いているというただそれだけで、なきたくなる。
それをかるくあしらうおかあさんをみて、くちびるをかみしめるんだ。

すごく、すごく悲しくなるんだ。
まだ言葉もない赤ちゃんが泣いているだけでも泣き出したくなる。
本屋のバイトなんて結構子供がいたり、泣いてたりわがまま言ってるから、いつも泣きたくなる。
涙腺のダムの一番最初の留め金が外れる音が聞こえるんだ。

なきたい。なきたいんだ。
どうしようもないほどに、ただなみだがあふれてほしい。
しずかになみだをながしたい。

どこかでだれかがわらっていたらうれしい。
どこかでだれかがわないていたらどうしよう。

ただ静かに涙を流していたいんだ。俺は、ね。


つまらないはなしをきいてくれて、ありがとう。