Lamp in S.B.S.
ネット物書き音沼紗春の日記。 日常と、文章について。 時々、サイトの更新情報。
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三部作?
いやいや、多分まだ書きます。何故にこううまくいかんのかわからんぜよ。
というわけで密室真実虹。
お前いい加減にしろよ、ってくらいに蒼色狂想曲、蒼狂学園からお借りするよ!
今回は4500文字くらい。やや長め?
例のごとくアレスたんだけども他2名登場っ、お楽しみにねっ。
楽しいのはお前だけだというつっこみは受け取った。
というわけで密室真実虹。
お前いい加減にしろよ、ってくらいに蒼色狂想曲、蒼狂学園からお借りするよ!
今回は4500文字くらい。やや長め?
例のごとくアレスたんだけども他2名登場っ、お楽しみにねっ。
楽しいのはお前だけだというつっこみは受け取った。
・冒険バルコニア
蒼狂学園は、結構広い。
アレスははじめて上る階段を上っていた。まるで怪談のように、延々と怪談が続いていた。窓があるためあまり恐怖や焦りなどは感じないが、気持ち悪いものはある。こんなところがあったのか、と呆れすら浮かんでくる。もちろん、その前に疲労がにじみ出てくるのだが。健康な高校生男児としては高層ビルでもない校舎の一階から最上階まで歩いて登っただけで息切れなどはしない。だが、この階段はあまりにおもしろかった。上って下って上って下って、また上っているのである。デッドスペースとデッドスペースをつなぐようにして続いてきた階段。踊り場を回ると、次の踊り場の先は扉になっていた。アレスは軽く口笛を拭いて、最後の階段を駆け上った。
スチール製の、古そうな扉。鍵がかかっているかとも思ったが、たやすく開いた。ほこりが舞い上がってあふれ出してくる。口元で手を往復させながら中を見渡した。二畳ほどの部屋だ。とても小さい。等間隔で、狭苦しく棚が並べられている。しかし、ほこりが積もっているのみで、何も置かれてはいなかった。長く続いた階段の先に待っていたのがこんな、どうでもいいような部屋。アレスはほこりを吸い込みながらため息をつく。最後の望みは、とほこりを立たせながら部屋を横切る。
スチール製の、古い扉。どこに続いているかは分からないが、曇りガラスに見える色からして、外のようだった。階数は多分最上階。ドアノブを回して押したが、ガチ、という音がした。鍵がかかっているようだ。ドアノブにコックがついているかと思いきや、そんなことはない。鍵穴もない。視線をそらすと、扉の端とフレームに金具がついており、そこに南京錠が通してあるのだった。ほこりにまみれたそれを手に取る。意外と新しそうで、がちゃがちゃやってれば取れる、とは言えなかった。扉についている金具の方が錆びてはいるが、ねじでしっかりとめてある。ドライバーなしには外せないだろう。結局、ここで行き止まりか。アレスはうつむいてため息をつく。またあの階段を戻らねばならぬかと思うと、ため息を我慢することはできない。
足元の壁に小さな扉がついているのを発見した。嬉々としてしゃがみこみ、切れ目に爪を入れてこじあける。拳一つが入るかはいらないかというほどのスペース。そこに、鍵が置いてあった。にやと笑いながらそれを手に取り、南京錠に差し込む。回す。がちゃ、と音がして錠が開いた。嬉しさをかみ締めながら南京錠を外し、鍵とともに足元のスペースに入れた。足でその扉をしめてから、改めて目の前の扉を押した。
ガガッ。という音がして、数cm開いただけで止まった。数cmの隙間から、コンクリートが見えている。どうも、隆起したコンクリートとドアの下の部分が当たっているらしい。力任せに押すが、ほんの少し動いて、止まった。ドアの切れ目からは青い空と塗装のはげかけた手すりも見えている。ここまで来て……。アレスは悔しく歯をかみ締める。その苛立ちに身を任せ、ドアの中ほどを蹴りつけた。
ガキン、という音がして、蝶番が二つとも弾けとんだ。アレスが驚いている目の前で、扉は下の一辺を軸にして、ぱたーん、と倒れた。手すりに当たって硬そうな音を立てる。突然開けた視界に驚きながらも、ドアを避けるように、そのベランダ部分に出た。
「いや、びっくりしたって」
突然声がかかって、アレスは文字通り飛び上がった。足首を扉にぶつけた。声の方向、ベランダの隅に、遊慧がいた。手すりに背を預け、手を胸元に当てながらアレスの方を向いている。足首を押さえて痛みに涙を滲ませながらそちらを見る。
「おま、なん、で、ここにっ、痛い!」
「俺のせいじゃないって。俺だって驚いたんだって」
アレスは顔を歪ませながら、振り向いて扉を蹴り上げた。気持ちよいくらいに綺麗に立ち上がり、ぱたん、と元のフレームに収まった。遊慧が拍手をする。アレスは改めて振り返った。
「ていうかなんでお前ここにいんの? どっから来たの?」
「お前こそどっから来たんだって。ここ屋上とつながってんだって」
遊慧が示すはしごを見上げる。オレンジ色のはげかけた塗装。確かに屋上とここを結んでいた。
「俺はー、なんかこう、旅をしてきました? 的な」
「わけわかんねえって。あ、でもその扉開けてくれてありがとだって。気になってたんだって」
一人で頷く遊慧。そこでアレスは初めて、遊慧が加えているものに気がついた。遊慧がその視線に気がついたように、それをつまんでみせる。
「吸うくらい赤ちゃんでもできるって」
「いや、そりゃそうだろうけど、や、でも意外?」
先が赤く燃える、白い筒。煙草。遊慧は煙にむせながら軽く手を振った。
「俺だって吸いたいわけじゃないんだって。親父がわけわかんないこと言うんだって」
「親父が? 煙草吸えって? そりゃまた珍しい」
「あの人頭おかしいって。不良ならタバコを吸うんだ、とか言ってこれくれたんだって。だが健康に良くないので有害物質は除いて作ったんだよ、とか言ってたって」
指でつつくようにして灰を落とす遊慧。もう一度くわえなおす。あまりサマにはなっていなかった。いる? と無言で聞かれ、アレスはその有害物質のないタバコをもらった。味はなかった。ただ、変な煙が肺の中に入ってくるだけ。ふと、遊慧はアレスの来た方向を気にする素振りを見せる。
「どうしたん? 何かいた?」
「いや、そっちがどこにつながってるのか気になるんだって。ずっと気になってたんだって。他の通路から来ようとしても来れなかったんだって」
「んじゃ、行ってみるといいんじゃない? とても楽しいから!」
遊慧は眉根を寄せ、嫌そうな目つきでアレスを見た。アレスの言う『楽しい』がいい意味でないことをわかっているようだった。しかし、好奇心には勝てなさそうだった。扉の前まで進んで、ドアノブを引いた。上から倒れ掛かってくる。反射的に両手で支えた。やや恨みがましい目でアレスを見てから、ドアの下から離れて手すりに立てかける。両手を叩き合わせて、扉の先を見据える。ふっと振り返る。楽しそうな笑みを浮かべていた。
「じゃあ俺行くって。本当ありがとだって」
「いやいやどういたしましてだって」
「真似すんなって」
「うつるんだって」
少しの無言があってから、遊慧は扉の先に足を入れた。ご丁寧に扉もはめていく。アレスは最初に遊慧がそうしていたように、手すりにもたれかかった。がたん、と変な向きに扉が開いて遊慧が戻ってきた。手に何か丸い物体をつかんでいる。
「これあげるって」
「あ、ほんと? ありがと遊慧たん」
「今何時かわかんないって。だけど多分そろそろここ、ザイン先生来るって」
「ザイン先生? なんでまた。つうかどうやって」
「職員室近くにもはしごがつながってるんだって。煙草吸いに来るんだって。じゃあ俺行くって今度は本当にだって」
軽く手を振って、遊慧は再度扉の向こうへ消えた。やはり扉をしめていく。アレスは遊慧の背が消えてからもしばらく手を振っていた。くわえた煙草もどきをつまんで、灰を落とす。ふーっ、と煙を吐き出すと、本物の煙草のように思えた。少しだけむせる。
「あれ、遊慧じゃねえんだ? 珍しい顔見た」
ベランダの隅に、かわいい顔がのぞいた。金髪青目。アレスは咳き込みながら片手を振る。手すりをひょいと乗り越えるザイン。アレスはますます咳き込んだ。
「おい、大丈夫かお前。慣れねえのに煙草吸うからじゃねえのか?」
「こ、れ。ゆえ、の、げほがは」
「あ、遊慧のか。あれは煙草じゃねえな。うん」
煙草もどきの火を手すりに押し付けて消す。それからまた少し咳き込むと、収まった。ザインはくすくすとおかしそうに笑って、煙草に火をつけた。そして、ふと気がついたというようにアレスの手に目を留めた。
「なんだお前、何持ってんだよ」
言われて、アレスは片手を上げた。そういえば遊慧に何かもらったのだった、と思い出す。ふわふわしていた。黄色い。丸っぽくて、そして、動いた。
「ぴよ」
「……ひよこ?」
ザインが訝しげに呟いた。煙草を取り落としそうだったが、そんなヘマはしなかった。アレスも手の中のそれを見つめる。ぴよ、と再度言う。
「こんなんどこで拾ってきたんだよ」
「や、遊慧がくれたんだけど。今さっき」
「はーん」
ザインは笑みを浮かべてひよこを眺める。つ、と指先を伸ばしてひよこをつつく。む、と眉間にしわを寄せた。
「……これ、おもちゃか?」
「あー、やだ先生、騙されてたの? 先生かっわいいー。おもちゃのひよこ、本物だと間違えるなんて都会っ子。俺は見た瞬間にわかったもんね。先生かわいいなあ。女みた」
「うるせえだまれ」
少しだけ頬を赤く染めながら青筋を浮かべ、アレスを睨むザイン。こんなもん、と呟いて煙草の煙を吹きかけた。ぴよ、と言った。
「でも、よくできてんだなあ」
「今時のオモチャって結構そうでしょ。先生ふーるーいー」
「喧嘩売ってんのかてめえ」
いらだたしげにアレスを睨むザイン。アレスはおー、怖。と呟くと、目の前にひよこを掲げた。ぴよ。
「かわいい顔が台無しだよ、ザインちゃん」
「そんなもん捨てちまえ!」
「あ。これ投げたらよく飛びそう。どこまで飛ぶかな」
「そんなひどい事をするな!」
「言ってること逆じゃん」
アレスが笑うと、ザインは不機嫌そうに顔をそらした、ふーっ、と煙を吐き出す。
「先生、わっかわっか」
「やだ」
えーっ、とアレスが叫ぶと、ザインはおかしそうに笑った。煙がゆらゆらと昇っている。
がたん、と音がした。下の一辺を軸として、おかしな向きに扉が開く。遊慧が戻ってきた。アレスもザインも目を点にした。
「……なんでまた戻ってきてんの?」
「……そこ開いたのか?」
アレスが、自分がそちらから出てきたのだとザインに言う。遊慧は扉をまたいでベランダに出ると、やっぱり扉を閉めた。ずい、と振り向く。
「あれ絶対延々と階段だって。嫌になったからやめたって」
「うわ、ずりぃ。俺ちゃんと進んできたのに」
アレスがからからと笑う。遊慧は肩をすくめた。ザインもくすりと目を伏せて笑った。
携帯灰皿を取り出し、ザインは煙草をその中に突っ込んだ。さて、と言いながらそれをポケットの中に戻す。
「お前らもさっさと戻れよ」
ひょいと手すりを乗り越えると、職員室につながるはしごに足をかける。そうだなって。と呟き、遊慧も屋上へ向かうはしごに足をかけた。アレスは遊慧の後ろに続く。ふと遊慧が振り返る。
「ここ俺のはしごだって。お前には通らせないって」
「うえ、まじで、何それ。じゃーザイン先生の方で降りる」
「残念だったな。こっちは俺専用だ」
「お前はそっちから帰れって。そっちはアレス専用だって」
「いやいや、あれまじで長いんだぜ? 帰る前に日が暮れちゃうじゃん!」
アレスは眉根を寄せて二人の顔を交互に見る。二人はニヤニヤと笑っていた。むっと頬を膨らませ、アレスは口を尖らせる。
「いいもーん、遊慧たんとザイン先生がここで密会してるんだって言いふらしてやる。……いまさらだけど怪しいなお前ら!」
ばかか、とザインが軽く笑った。遊慧も肩をすくめる。そしてアレスを置いて、はしごからベランダを離れていく。アレスはうーん、とベランダの上でしばし悩んで見せた。
「飛び降りる?」
馬鹿なことを考えていた。
了
人気トップレベルなザインさんと遊慧さん登場。みたいな。
タイトルは適当。アは語呂の関係ですにょん。
このお話が微妙なのはわかってる、テーマ主題がないのです。
いや、つけたら暗くなりそうだったので無理矢理つけなかったらぐだった。
でも後悔はしていない? くそう、どうしたら明るくなるんだろうアレスのばかあ><
PR
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