Lamp in S.B.S.
ネット物書き音沼紗春の日記。 日常と、文章について。 時々、サイトの更新情報。
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密室真実つー
密室真実2回目。
ちなみに昨日の「ぱんつ」ですが、最後本当は「このぱんつっ!」って怒る予定だった。
全然違う話になった。
今日は何書こうかな。
カテゴリ、密室真実。
適当掌編小説。アドバイス却下、感想受付中。
「夏の名残」
ちなみに昨日の「ぱんつ」ですが、最後本当は「このぱんつっ!」って怒る予定だった。
全然違う話になった。
今日は何書こうかな。
カテゴリ、密室真実。
適当掌編小説。アドバイス却下、感想受付中。
「夏の名残」
街並みが過ぎていく。
そう、友人とショッピングモールで遊んだ帰りだ。
時々自分が何をしていたのか、何をしているのかわからなくなる。
等間隔に並んだ木々の横をほぼ等間隔の歩幅で歩く。
すれ違う人もそれなりにいる。
サラリーマンだったり、OLだったり、ちゃらちゃらした男達だったり。
不意に風が髪を撫でた。
後ろから、自転車に追い越されたのだ。
茶髪の女性、多分OL。
さわやかに髪をなびかせ、お尻をサドルにくっつけたままいそいそと遠ざかっていく。
手の中に、金属バットを握りしめる。
ぎゅっと音を立てて強く握ったら、真っ直ぐ前に走り出す。
目標は今追い越された自転車。
すぐに追いついて、自転車の後輪を横から殴りつける。
バランスを崩した自転車ごと、女性が倒れる。
意外と若い。まだまだ職場にも慣れていないころかもしれない。
膝に手を当てながら驚いてこちらを見る女性。
血が出ている。すりむいたらしい。ストッキングは伝線してしまっただろう。
一瞬にして恐怖の表情に変わった彼女の顔面に狙いを定め、バットを振り上げる。
両腕を顔の前に出してかばおうとする女性。
関係ない。腕ごとへしおろう。
振り下ろす。
通り過ぎた自転車を見送ってから、街路樹を見上げる。
イチョウだろうか。街路樹は全てイチョウがいいと思う。
あの葉の形が好きだ。あと、そう、緑の色の薄さが好きだ。
見上げながらゆっくり歩いて、何人もの人とすれ違う。
ゆっくり歩いているせいか、時々早足のサラリーマンや学生に追い抜かれていく。
交差点が見えてくる。
そこに、何かを配る、少しかっこいい感じのお兄さんがいた。
どうやら化粧品等の試供品らしい。
差し出されているのは主に若い女性だ。
手の中に果物ナイフを握りしめる。
少し早足になって、彼のほうへ向かう。
近くなったところで速度を緩め、彼へ向かっている、と悟られないようにする。
彼は交差点に立ち止まった学生の女の子たちに試供品を差し出す。
小走りに彼の後ろへ回り込む。
彼は気がつかない。どうぞー、と試供品を渡しながら、後ろに気がつかない。
構わず、その背にナイフを突き立てる。
信号が青になった。
信号機を見ていた目線を横断歩道へ戻し、足を前へと出す。
そこにたまっていた皆々が一斉に車道へと繰り出す。
横を見ればこちらを向いた車が止まっており、逆横では同じ方向か逆方向に車が走っている。
親子連れの、若い夫婦が目に入った。
夫らしき人が荷物を持ち、妻らしき人が幼い子供の手を引いている。
手のひらをぎゅっと握りしめる。
人の間を素早く移動して、彼らの後ろまで来る。
息を吸い込んで子供の体を抱き上げ、女性の手と子供の手が離れる。
驚いた表情で振り向く女性と、表情の見えない子供。
重いけれど、全身を使えばそう重いわけでもない。
力を入れて、同じか逆の方向に走る車の群れ方向に少し走り出す。
勢いがついたところで、腕の中に子供を車達のほうへ投げる。
子供が、ママだっこー、というのを聞きながら、横断歩道を渡りきる。
親子は曲がっていき、見送ろうとも思わなかったので、すぐに視界から消えた。
道端にゴミ箱がある。大通りだからだろうか。
丁度その時間らしく、清掃のおじさんがごみを回収しにきていた。
定年後だろうか、定年前だろうか。
そういう、灰色っぽい髪をしたおじさんだ。
青い色の上下の作業服を着て、台車にごみを載せている。
不意に手の中に布紐を感じる。
喉をごくりと鳴らしてからゆっくりそちらに歩き出す。
おじさんがこちらを見た。
だがすぐに作業に戻る。ごみを捨てる人だと思ったのだろうか。
丁度よく、彼は背を向け、少しかがむ。新しいごみ袋を出しているのだろうか。
やると決めたからには素早く、彼の首に紐をかける。
後ろからだから彼の表情はわからない。
反撃される前に、ためらわず両端の紐をまとめて持つと、背負うようにして引く。
こうするのが、多分一番力がいらないのだ。
ぎゅっと引き、強く強く引く。
やがて家に帰ると、ベッドに倒れこむ。
結局、何もおきてはいないのだ。
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