Lamp in S.B.S.
ネット物書き音沼紗春の日記。 日常と、文章について。 時々、サイトの更新情報。
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明日お休み
へい。紗春です。
昨日の続きだよ。
もう一つ続く。多分あと一つで終わるけどなあ。
そんで、明日は従妹の家に泊まりに行きます。
なので携帯日記の更新があるかもしれないしないかもしれない。
うにうに。
日曜夕方に帰るので日曜はブログも書けるよ。書かないかもしれぬけど。
アレスはいいよ!
今日はちょと短め。
昨日の続きだよ。
もう一つ続く。多分あと一つで終わるけどなあ。
そんで、明日は従妹の家に泊まりに行きます。
なので携帯日記の更新があるかもしれないしないかもしれない。
うにうに。
日曜夕方に帰るので日曜はブログも書けるよ。書かないかもしれぬけど。
アレスはいいよ!
今日はちょと短め。
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カイが意識を失っていたのは数秒のことだった。目を開けると、大きな岩は既に落ち、ぱらぱらからからという小石の落ちる音ばかりが聞こえ、砂煙に満ちているようだった。明かりはまったくなく、ほとんど真っ暗闇の中にいた。
咳き込みながらゆっくりと体を起こす。手をついた場所が妙に暖かく、柔らかい。アレスだ。気がつけば背にも腕が回っており、抱きしめられる形で倒れていたのだと気がつく。いつもなら斧を振り回すところだが、岩につぶされるところだったのだ、助けるためにそうしたのであって、他意はない。はずだと思う。倒れたままのアレスの横に座り込む。アレスがすぐに目を覚まして、カイちゃん抱き心地うんがらかんたらと言い、カイが軽くはたく。そうなると、彼女は思っていたのだが。
「アレス?」
いつまで立っても起きない。見えないのだから仕方がない、と不本意ながら顔を近づけて覗き込む。閉じたままのまぶた。息はある。しかし、触れた頬に濡れるものが合った。血だ。そうだ、さっき岩がアレスの頭に直撃していた。カイは軍服のあちこちのポケットから包帯とガーゼと消毒薬を取り出す。
「……暗い」
呟くと、妙に響く。ポケットの中を探るが、マッチは入っていない。これでは応急処置すらまともにできない。歯噛みして、ないとわかっていながらも火種を探す。
ぽっ、と明かりが点った。
「おう、暗いねえ」
暗闇に浮き上がった、血に顔の片側が覆われたアレスの顔。マッチを地面の上に置き、ゆっくりと上体を起こす。
「あい、う、えお。痛い」
顔を歪め、こめかみを押さえる。カイは口を半開きにしたままアレスの体を支え、壁に寄りかかるのを手伝った。すぐに、マッチの明かりは消えた。
「消えちゃった。あれま。カイちゃん大丈夫? 怪我ない?」
「……ない。ないよ、かすり傷くらいしか」
「女の子はかすり傷だって気をつけなきゃ」
「知るかよ、お前の方がやばいんだぞ」
「あ、やっぱり?」
アレスが不意にカイの手を取った。驚いて飛び上がりそうになるカイだが、手の中に箱が押し込まれた。
「マッチ。持ってて」
そう言って、ごそごそとポケットを探っている。カイはぎゅっとマッチ箱を握った。
あれ、ないな。というようなささやき声がかすかにするだけで、あとは砂の流れる音が聞こえている。静かだった。
「隊長とか、大丈夫だろうか」
「まあ大丈夫なんじゃない? さっさと逃げてたし」
「でも、崩壊の規模がわからない」
「そりゃそうだ。でも明かりはあるし。人もいっぱいだし。あ、あった」
きき、と金属のきしむような音が聞こえた。カイはマッチを差し出す。アレスの姿が見えるわけでもないし、彼が取り出したものが見えるでもない。だから、適当に差し出しただけだ。それでも、アレスはマッチ箱を受け取った。
「ありがと」
すぐに、マッチに明かりが点る。照らされたのは、小さなランプだった。直方体をしており、折りたためるようだった。中に火を入れる。火が移って、辺りへの明かりが強くなる。アレスはマッチの火を消し、辺りを見渡す。
先ほどの道よりも広くなっていた。ホールのようになっていて、隅に3つほど道が続いている。それを確認し、カイはアレスに視線を戻す。アレスは、近くの地面に目を走らせていた。不思議に思うと同時に、アレスはこめかみに手をやった。
「あ、大丈夫か? 手当てするよ」
「ん、ありがと。悪い、その辺にさっきのマッチない?」
「は?」
アレスの手元を見ると、小さな袋にマッチの燃えかすを入れていた。ここに、ゴミを、人の物を残さぬためだ。
「お前っ、重傷なのわかってんのかっ?」
いいながらアレスの持つ袋を乱暴に奪い、そばに落ちていた燃えかすをつっこんだ。あはは、と他人事のようにアレスは笑う。
「このあとどうしよっか」
「とりあえず手当てだ」
「うん、よろしく。そしたら、先に進もうか」
「危なくないか? 『竜』が棲んでるんだぞ?」
「いや、ここの方が危ない。まだ崩れる可能性あるって。戻ろうとして下手に道あけようとしたら生き埋めになっちゃう」
「……そうか」
「大丈夫、今の道は人しか通れない。ってことは、竜の通る道がどこかにはあるから、そっから出よう」
「上に穴が開いていて、飛んで行くのかもしれんぞ」
「わお、それは大変だ」
笑ってはいるが、いつものようにふざけた明るさはない。カイはどこか悔しく思いながら、アレスの髪に触れ、指先を血に浸す。
「あいた」
アレスはけらけらと笑った。
続
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